データポリシー

JaLTER Networkにおけるデータポリシー

1.はじめに

JaLTER Networkデータポリシーは次の3つのセクションに分かれ ている。これは,

1) JaLTERプロジェクトの成果物の公開に関するポリシー

2) ユーザによるデータへのアクセスのための登録

3) データ利用の条件,合意事項

2.JaLTER Network データセット公開ポリシー

JaLTERにおいて,公に資金供給を受けて行われた研究で得られ たデータや情報は,できるだけ制限なしにオンラインで利用可能に する必要がある.JaLTER Networkに参加する研究者は,収集したデ ータを,できるだけ正確なメタデータとともにできるだけ速やかに 公開するために、あらゆる努力をすべきである.

2.1.データセットの公開基準

データセットの公開は,以下に挙げる3種類のプロジェクトに対し てその優先度が定められる.

1) JaLTER承認プロジェクト*

JaLTER承認プロジェクトの資金を用いて収集されたデータにつ いてはプロジェクト終了時点でメタデータを,1年以内にデータを 一般に公開する義務を負う。

(* JaLTER承認プロジェクトについては別に定める)

2) JaLTERプロジェクト

資金の応募に際し,申請書にJaLTERとの関連を示したプロジェクト では,収集されたデータセットについては,プロジェクト終了まで にメタデータを一般に公開する義務を負う。また,データについて も公開することが推奨される.

3) JaLTERサイトにおけるその他のプロジェクト

JaLTERサイトで進められているその他のプロジェクトに関するメタ データとデータは公開が推奨される.

2.2.公開義務を負うデータの例外

1) 公開が義務づけられたデータセットの中でも,資金提供元に独 自のデータセット公開に関する規約がある場合,その規約が優先さ れる.

2) 希少種の分布など,公的な機関によって保護されるべきである と指定されている動植物種に関連する情報については,所有者の判 断が優先される.

2.3.メタデータ

1) メタデータは,そのデータセットが公表されると同時か,もし くはそれ以前に,利用可能にしなければならない.

2) 公開されるべきデータセットについては,データにどのような アクセス制限が設けられているかにかかわらず,メタデータはすべ て公的に利用可能な状態にしなければならない.

3) メタデータは,JaLTER が推奨する基準に従って記述する必要が ある.最低でも,引用に必要な情報(データのタイトル,公開年, 所有者名), データへのアクセス方法, 所有者の連絡先, データセ ット公開の条件については十分な情報を記入しなければならない. 観測・観察の方法,データの構造,意味,データの品質とその保証 についての情報はほとんどのデータセットについて必要であり,こ れらが公開されることが強く推奨される.

2.4.データ公開の方法

原則として,JaLTER管理委員会が推奨するJaLTERデータベースサー バ上で公開することとする.

3.データアクセスのための登録

ユーザがJaLTERデータセットにアクセスするためには登録が必要と なる.これはデータセットの利用状況を把握し,社会に対するデー タ利用の影響を評価したりするためである.

登録に必要な情報は,氏名,所属,連絡先(電話番号,住所, e-mailアドレスなど)である.

また,データごとに定義されている利用に関する合意事項を受け入 れるかどうか,予定している利用方法の概要についての説明も必要 となる.

これらの情報はJaLTER Network内で適切に管理され,サイト間で共 有される.すなわち,一度の登録で,他のJaLTERデータベースへの アクセスも可能となる.

また,ユーザは,データセットの使用に関する合意事項を十分に理 解し,受け入れなければならない.データセットの提供者がより強 い条件を科したい場合は,追加条項を加えることを奨励する.

4.データの使用に関する合意事項

JaLTERによって公開されるすべてのデータセットには,データの利 用についての条件を指定した合意事項が付帯されている必要がある .以下に合意事項を挙げる.但し,2.2.に示した例外のデータ のように,データの利用条件が他のデータ提供者によって規定され る場合は,その条件が優先され,個別に合意がなされる必要がある .しかし,この場合でも,以下に示す一般的なデータ利用に関する 合意事項を一部変更するなどよって利用することができる.

データセットの公開を制限する根拠としては,法律によって保全さ れている種やそれらの生息地,文化的財産へのアクセスを制限しな ければならない状況,人権に関わる法律によって保証された個人の 権利,あるいは第三者によって所有されているデータに係る知的, 経済的,法的権利による保全の必要性などが考えられる.

このポリシーは,JaLTER代表者会議によって承認されることによっ て有効となる.

4.1.一般的なデータ利用に関する合意事項

用語の定義

「データセット」 野外観察,採集,実験室での分析,または既存データの解析のよう な研究活動から得られたデジタルデータとそのメタデータをさす. カタログ化をすることが認められたサイト,大学,機関およびその 他の組織から発行された固有の識別子によって識別されたもの.

「メタデータ」 野外観察,採集,実験室での分析,または既存データの解析のよう な研究活動から得られたデジタルデータの属性情報。データの作成 者、所有者、配布者、連絡先、サイトの位置、データの収集期間、 収集方法等に関する情報が含まれる。

「データ使用者」 このデータセットにアクセスすることを許されている個人.その個 人らが直接的に共同して研究している範囲のグループ.データユー ザが意図した利用が可能となるように, データセットの使用を許 可された,データユーザと共に協働する組織,共同研究者,学生お よびスタッフ.

「データセット作成者」 データセットを製作した個人および組織.

「データセット所有者」 データセットの知的所有権を持つ個人および組織.この場合の所有 権は,法的な著作権として必ずしも定義されていないこともあるこ とに注意が必要である.メタデータにデータセット所有者として, 他の団体が明示されていない場合,これらの権利はデータセット作 成者が保持するものと見なされる.

「データセット配布者」 データセットのアクセス方法を提供する個人や組織.

「データセットの連絡先」 データセットに関する連絡先として,メタデータに記載されている 組織.

利用条件

科学的データの再利用は,学問分野内における,あるいは複数の学 問分野を横断するコミュニケーション,協調や協力を促進する可能 性を秘めている.それゆえ,データの再利用の可能性は十分に支援 されなければならない.データセットの利用に関する許可は以下の 条件を満たすことによってデータ利用者に無条件で保証される.

1) 適切な利用.学術,研究,教育,行政,レクリエーション,あ るいは他の非営利の専門的目的に限ってデータセットの利用を認め る.このデータセットを利用して作成された成果物には,このデー タセットと同じライセンス条件が与えられなければならない.他の ユーザがこのデータセットあるいはその成果物を利用するには元の データセットの所有者の許可を要する.

2) 再配布.取得したデータセットを共同研究者などに再配布する ことはできるが,メタデータとライセンスも一緒に渡さなければな らない.共同研究の範囲を越えて再配布してはいけない.

3) 引用.データを収集した科学者に対する感謝は,専門家の倫理 の問題として認識されるべきである.それゆえ,データの利用者は ,そのデータを用いて作成された,いかなる出版物,データセット のメタデータにおいても,元のデータセットの引用を適切に行なわ なければならない.引用に際しては,以下の一般的な書式を用いる .

データ制作者,データの公開年,データのタイトル,データの公開 者,データセットの識別子


Ohte, N. 2008. Hydrochemical data in Kiryu Experimental watershed: Japan
Long-Term Ecological Research Network: JaLTER Database:
JaLTER-Kiryu-2.3.1.
[Database].
http://db.cger.nies.go.jp/JaLTER/metacat-jp/metacat?action=read&qformat=default&docid=JaLTER-Kiryu-2.3.1&displaymodule=entity&entitytype=dataTable&entityindex=1
(10 July 2008)

 

4) 謝辞.データ利用者は,データセットを用いて作成したいかな る出版物においても,その内容にとってそのデータセットが重要な 貢献をしている場合,データセットのメタデータの中で言及されて いる支援者や資金提供者に感謝の意を表するべきである.謝辞には ,支援を与えた団体,支援を受けた団体,交付番号のような資金の 同定情報を示すべきである。


Data sets were provided by the JaLTER Database, Japan
Long-Term Ecological Research Network. Significant funding
for collection of these data was provided by the JSPS (Grant
numbers ########).

 

5) 通知.データ利用者は,そのデータセットを使った出版物や成 果物が配布された時に,データセットの所有者(連絡先)にそのこ とを通知する必要がある.データ利用者は,成果が出版物の場合は 2部,デジタルデータの場合はデータのコピー,またはオンライン アクセス権を,元のデータセットの所有者(連絡先)に提供しなけ ればならない.通知の中には,データセットがどのように使用され たのかについての説明を含める必要がある.

6) 共同研究.データセットはオープンな科学的協同の精神のもと で公表されている。したがって、データ利用者はデータセットの制 作者と協力・協同・共著を検討するように強く奨励される。

データセットを受け取ることによって,データ利用者はこの合意事 項の条件に従うことに同意する.データ利用者がこの条件に違反し たり遵守しなかったりした場合には,データ所有者はただちにこの 合意を停止することができる.データ利用者の過失により,この合 意事項に反するようなデータの間違った利用がなされた場合,デー タ利用者がその責任を負わなければならない.

4.2.免責

データセットに含まれているデータや説明文の正確性を高めるよう 努力しているが,データおよびメタデータの完全な正確性を保証す ることはできない.すべてのデータ・メタデータは,「現状で」利 用可能なものである.データの利用によって利用者に損害が生じた としても,データセット を作成し配布した団体は免責される。